絵本・児童文学研究レポート

絵本・児童文学についての自由研究ブログです

ユーモアあふれるナンセンス絵本『ぼちぼちいこか』

『ぼちぼちいこか』

 マイク=セイラー さく / ロバート=グロスマン え 今江祥智 訳 (1980)

 (4~5歳頃から)

 

【あらすじ】

 ぼくは、かば。ぼく、なんでもやってみたい。「しょうぼうしになれるやろか」「ふなのりは、どうやろか」「パイロットやったら―」・・・「どうも こうも あらへん」。あきらめないで、なんでもやってみるんや。失敗ばかりやけど。「ま、ぼちぼちいこか―」

 

肩の力を抜いて・・・

 

私は、どうやら「がんばりすぎてしまう」ところがあるようです。

 

そんなことはないと思うのですが、よく言われてしまうのです。

 

この本は大学生時代に、部活の先輩からいただいた本です。

 

夢中になって、一生懸命やっているときは、楽しい。

 

「なんでもできる!」「なんでもやってみよう!」

 

意欲に燃えているときは、体も軽くなるような感じになりますが、その時が一番要注意。

 

体は逆にストップをかけようとしているかもしれませんが、それに気が付かないことも多いのです・・・

 

よく、何か大きな行事があった後、体調を崩すなんてことも。

 

「ぼちぼちいこか」

 

今は、以前より体力がだいぶ落ちたと感じています。

 

だから、「ぼちぼちいこか」

そんな気分がよくわかるようになってきました。

 

あの人、肩の力入ってる・・顔がひきつってる・・

 

そんな人がいたら、『ぼちぼちいこか』をプレゼントしたいなあ。

 

 

『What Can a Hippopotamus be?』

 

『What Can a Hippopotamus be?』

これが、『ぼちぼちいこか』の原作タイトルです。

 

そうです、これは、アメリカの絵本なのです。

それを、訳者今江祥智さんが素晴らしいタイトルに訳してくださいました。

 

児童文学作家であり、翻訳家今江祥智さんは、大阪の出身です。

 

「わたしの好きな関西弁で訳して遊んでみました。」

 

訳者の言葉には、そう記されています。

 

この絵には、この言葉がぴったし。これしかない。

翻訳の力です。

 

すてきな三にんぐみ』の作品も、今江祥智さんが訳しています。

 

「みなさんも、ひとつ、おくにことばに訳して、たのしんでみてください」

 

『ぼちぼちいこか』の博多弁や、東北弁バージョンだとどうなるのでしょう。

おもしろそうです。

 

みなさんも、ご出身の方言で読まれたら、また心にしみるかもしれません。

 

 

「いま、ここで」に意識を向けながら、「ぼちぼちいこか」

 

「とにかくせちがらく、あわただしい世に、じっくりと自分をみつめ、ぼちぼちと自分について考えてみることも、たいせつではないでしょうか。」

 

今江祥智さんは語ります。

 

私は、現在、臨床心理学について学んでいます。

 

先日、「マインドフルネス」について学習しました。

 

マインドフルネスとは、

「感情や思考、身体感覚、症状など、「いま、ここで」体験している事柄について、感情や思考に巻き込まれることなく、それを体験していることに注意を持続させ続けること。」

 

「いま、ここで」起こっていることに気づき続ける。

 

簡単なようで、すごく難しいです。

 

臨床心理学を学びながら、その学んだことをまずは自分の中で活かせるように、勉強法などに取り入れたり、自分の思考について観察したりと「自分研究」をしています。

 

「いま、ここで」の感覚。

例えば、自分の呼吸に気づくこと。聞こえてくる音に耳を澄ませること。

自分の体の様子に意識を向けること。

 

しかし、脳は暇さえあれば、「今日のごはん何食べようかな」「昨日何食べたっけ?」「あれ、買うの忘れた」「なんで買っとかなかったんだろう」「また、やっちゃった」・・・

 

と、どんどんどんどん自動思考が始まっていきます。

脳は意識をとばしやすいのです。

 

そして、つい未来のことが不安になったり、過去のことを悔やみ続けたり・・・

 

一つのことから、どんどん派生して、なんでこんなこと考えていたのだっけ?と思考をさかのぼってみたりして。

 

「いま、ここで」起こっていることに意識を向けると、すごく集中できるし、余計なことを考えないですみます。

 

私は最近、自動思考が働き始めたら「いま、ここ」と心の中で言うようにしてみました。

気持ちを切り替える訓練をしています。

 

私はヨガやピラティスをやっているのですが、自分の呼吸に意識を向けて、集中できる時間はとても気持ちがよく、私にとって大切な時間です。

 

「いま、ここで」の実践を一歩ずつ。

 

自分の気持ちや体に意識を向けながら。

 

かばくんのように、「いま、ここで」やってみようと思った気持ちを大切にして。

失敗しちゃった、自分はダメなやつなんて考えない。

 

「どないしたら ええのんやろ」

 

そんな風に思ったら、

「おもいつくまで ちょっと ひとやすみ」

 

「ぼちぼちいこか―ということや」