絵本・児童文学研究レポート

絵本・児童文学についての自由研究ブログです

冒険の始まり『エルマーのぼうけん』

『エルマーのぼうけん』

 ルース・スタイルス・ガネット 作 ルース・クリスマン・ガネット 絵 

    渡辺茂男訳 福音館書店 (1963)

 5~6歳頃から

 

【あらすじ】

 ぼくのとうさんの名前はエルマー・エレベーター。エルマーが小さかったときのこと、あるつめたい雨の日に、年とったのらねこに会いました。ねこはびしょぬれで、とても気持ちが悪そうだったので、ぼくのとうさんは、うちに連れて帰りました。しかし、エルマーのお母さんは、そのねこが来たのを見るとひどく怒りました。エルマーはお母さんにばれないように、ねこを助け、そのうちとても仲良くなりました。ねこはエルマーに若い頃の旅行の話をします。みかん島の近くにあるどうぶつ島。その島にいた子どものりゅう。長いしっぽをしていて、体には黄色とそらいろのしまがあるりゅう。どうぶつ島のどうぶつたちは、そのりゅうを夜通し働かせているとのことでした。その話を聞いたエルマーは、りゅうを助けに出発します。エルマーのぼうけんの始まりです。

 

 

冒険の始まり

 

私は小さい頃、「冒険」のお話が好きでした。

 

グリックの冒険』、『カッレくんの冒険』、『ミス・ビアンカシリーズ くらやみ城の冒険』など、冒険と名のつくものをたくさん読んでいた記憶があります。

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未知なるところへ。

何が待ち構えているのかはわからないけれど、それがおもしろい。

 

ワクワク・ドキドキです。

 

特に、冒険の始まりはとてもワクワクします。

 

まずは大事な荷仕度です。

 

エルマーのもっていったものは、チューインガム、ももいろのぼうつきキャンデー二ダース、わゴム一はこ、くろいゴムながぐつ、じしゃくが一つ、はブラシとチューブいりはみがき、むしめがね六つ、さきのとがったよくきれるジャックナイフ一つ、くしとヘアブラシ、ちがったいろのリボン七本、『クランベリいき』とかいた大きなからのふくろ、きれいなきれをすこし、それから、ふねにのっているあいだのしょくりょうでした。

 ふねの中のねずみをたべていきていくわけにもいかないので、ピーナッツバターをはさんだサンドイッチを二十五と、りんごを六つもちました。なぜりんごが六つかといえば、それだけしか、だいどころになかったからです。

 

 

しっかりと食料をつめた荷物を全部リュックサックに入れて、エルマーは船に乗って出発します。

 

この荷物、エルマーの機転の良さで全て役に立つのです。

 

それは、読み進めてみてからのお楽しみ。

 

さて、この本には、「みかん島とどうぶつ島のちず」が描かれています。

 

地図を見るとまた興味がそそられます。

 

「ぴょんぴょこいわ」「なきべそプール」

 

エルマーが島を探検するのと一緒に、地図を見ていくと、エルマーがどのように冒険しているかがわかり、おもしろいです。

 

私は、この本を古本で買ったのですが、その地図に、えんぴつでエルマーのたどった跡が書かれているのを見つけました。

 

きっと、本の元の持ち主も、エルマーと一緒になって冒険していたのでしょう。

 

どうぶつ島のジャングルは危険がいっぱい。

 

おしゃべりねずみに、おこりんぼの二ひきのいのしし、おなかがすいたとら七ひき、なきべそのさい、腹を立てていてはらぺこのライオン、せっかちなゴリラ・・・。

 

しかし、エルマーは、戦いません。

エルマーは、頭で戦い、その場を切り抜けていきます。

 

エルマーは、無事にりゅうのところまでたどりつけるのでしょうか。

 

続きは、ぜひ本でどうぞ。とても読みやすいです。

 

そして、続編には、『エルマーとりゅう』『エルマーと16ぴきのりゅう』があります。

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続きが待ち遠しいお話です。

 

私の好きな人形劇団プークでも、『エルマーのぼうけん』のお話は何度も上演されています。

 

こちらもとてもおすすめです!

 

 

作者のプチ紹介

 

『エルマーのぼうけん』の作者ルース・スタイルス・ガネットは、もともとは化学者として、医学研究所や電波探知機の研究所で働いていたそうです。

 

しかし、自分の本当の興味は児童文学にあると悟り、その後、児童図書協議会の職員として働く間に、この作品を書いたそうです。

 

そして、この作者のお母さんが、この絵本の挿絵を描いているルース・クリスマン・ガネットです。

 

親子で作られた素敵な作品です。