絵本・児童文学研究レポート

絵本・児童文学についての自由研究ブログです

追悼 かこさとし 600点以上の名作を生みだした、絵本・児童文学研究者

平成30年5月2日に加古里子さんが亡くなりました。

92歳でした。

 

絵本作家であり、児童文学研究者のかこさとしさん。

東京大学工学部を卒業し、工学博士でもあります。

 

民間化学会社研究所勤務のかたわら、セツルメント運動(慈善組織化運動の一つ)、児童会活動に従事していました。

 

今までに、『だるまちゃんとてんぐちゃん』『からすのパンやさん』や『かわ』『海』『宇宙』などの科学絵本など、作品数は600点以上にのぼります。

 

90歳で描かれたという、『小湊鉄道沿線の旅 出発進行!里山トロッコ列車』を読んだときには、衝撃が走りました。

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かこさとし作品は、どこまでも細かく調べられて描かれているのが特徴です。

 

観察力。

 

子どもたちに「本物」を伝えようとしている、圧倒的な素晴らしさがあります。

 

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『未来のだるまちゃんへ』 かこさとし 文春文庫 (2016)

著書で、かこさとしさんは、こう語っています。

「間違えない人間なんていないのだから、そこで腐らず、諦めずに、自分でどう考え、乗り越えたのかが大切で、そこに生きていく値打ちがあるというものです。

 ただ、大人はあくまで裏方でね。あんまりあれこれ言わない方がいい。消えている方がいい。僕はそう思います。人間だって生物だということを忘れないでいてほしいのです。子どもたちも生きようとしている、その生きる力をどうかみくびらずに信じてやってほしい。」

 

「大人としてやるべきことをきちんとやらないで、子どもをどうにかしようたって、出来ない相談でね。子どもには大人の変わりは出来ないように、大人は子どもにはなれないのですから、まずは自分が一個の大人として立派にやってくださった方がいい。

 そうすれば、子どもたちはちゃんとそれを見ています。子どもたちは、いつだって見事な大人を観察しては、ひそかにみならって努める素晴らしい生物なのです。

 

 子どもたちには生きることをうんと喜んでいてほしい。

 この世界に対して目を見開いて、それをきちんと理解して面白がってほしい。

 そうして、自分たちの生きていく場所がよりよいものになるように、うんと力をつけて、それをまた次の世代の子どもたちに、よりよいかたちで手渡してほしい。

 

子ども一人ひとりに向き合って、子どもの世界に入り込んでいたかこさんだからこそ、伝えられる言葉だと思います。

 

 

今まで、たくさんの本をありがとうございました。

これからも読み継いでいきます。

 

かこさとしさんのことや、作品については、また後日書いていく予定です。