絵本・児童文学研究レポート

絵本・児童文学についての自由研究ブログです

しかけがたくさん科学絵本『かわ』

『かわ』

加古里子 作/絵 福音館書店 (1962)

小学校1~2年生頃から

 

【あらすじ】

山の水はどこへ行くのでしょう。山を下り、ダムを超え、平野に出ます。田んぼがあり、人々の暮らしの中に川があります。町を超え、工場を超え、川下から、海へ。高いところから、川を眺めていきます。

 

科学絵本『かわ』

 

NHKの「ブラタモリ」という番組が好きです。

タモリさんが、その土地をブラブラと歩きながら、地域の地形や歴史、その中の人々の生活に触れていきます。

 

地理の授業は、「ブラタモリ」のようにしたら、おもしろいのに!といつも思います。

 

加古里子さんの『かわ』も、川というものの全体像を知るのに、とても良い教材だと思います。

 

鳥瞰図のように描かれていて、川の全貌を知ることができます。

それが、とても細かく描かれています。

 

大きなところから、細部まで。

加古里子さんの絵本は、本当に丁寧に細かいのです。

 

人々の暮らしにまで、目が向けられ、川がとても身近で、生活に欠かせないものだということがわかります。

 

この絵本、実は、前のページから次のページへ、川がずっと続いています。

かこさとしさんのしかけです。

 

この絵本をつなげて、一枚絵になる『かわ』の絵巻絵本も発行されているのです。

ほしい!

 

かこさとしさんは、『ちっちゃな科学』の中で、福岡伸一さんと対談を行い、『かわ』についてこう述べています。 

 

自然をそのままパッと描くのではなくて、整理をしながらもいろいろな要素があって、人が川の流れとともに生活をしている、そこを見てほしかったのです。

 

子どもたちに、自然の見方を教えてくれる、素晴らしい科学絵本です。

 

引用文献

『ちっちゃな科学』 かこさとし 福岡伸一 中公新書 (2016)