絵本・児童文学研究レポート

絵本・児童文学についての自由研究ブログです

子どもの探求心『とこちゃんはどこ』

『とこちゃんはどこ』

 松岡享子 作 加古里子 絵 福音館書店 (1970)

3~4歳頃から

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【あらすじ】

 とこちゃんは、おばあちゃんにもらった赤いぼうしがお気に入りで、どこへ行くときもかぶっています。ある日、とこちゃんはお母さんと一緒に市場へ行きました。市場の前でお母さんは、おともだちに会って、おしゃべりを始めました。とこちゃんは、そのまにとことこかけだして―どこかへ行ってしまいました。どこへいったのでしょう。「ああ、いた いた!」

日曜日、とこちゃんは、お父さんと動物園にいきました。お父さんが案内板をみているまに、とこちゃんはとことこかけだして―いろんなところへ、一人でいってしまうとこちゃん。とこちゃんは、どこ?

 

子どもの探求心 

 

小さい頃、迷子になることは、すごく怖かったです。

 

あれ、さっきまで、一緒にいたのに。

 

自分から離れてしまっているのにもかかわらず、必死に探して、親がみつかった時の安堵感。

 

『とこちゃんはどこ』のとこちゃんは、とことこかけだして、いつもどこかへ行ってしまいます。

 

見ている側は、見つからなかったらどうしよう・・・

 

ちょっとハラハラしながら、探します。

「ああ いた いた!」

 

みつかると、ほっとします。

 

とこちゃんは、ちょっと冒険してみたいけど、みつけてもらいたい、必ず見つけてもらえるとどこかで思っているかもしれません。

 

こちらは、とこちゃんと自分を重ね合わせて、とこちゃんを必死に探します。

 

探求心

 

無意識的に、自分の存在を確かめようとしているのかもしれません。

 

とこちゃんはデパートでも、とことこかけだして行ってしまいました。

そこでの帰り道

 

かえりみち、おとうさんも おかあさんも、とこちゃんのてを しっかりにぎって、はなしませんでした。

 

はなれて、もどって、つないで、また、はなれて。

 

みつけてくれる人、戻ってくる場所があるから、またいろんなところへ行ける。

 

それが、子どもの成長につながる力だと思います。